ピアス多数、髪は金髪、背中に刺青(いれずみ)…。


うん、もろ不良君ですね…怖。


そしてその後ろには、これまた悪そうな不良君が大勢。



「そう、俺が啓太。よろしくね」


軽そう…。



「椿を、返して」


強めの姿勢を崩さずに…冷静に。



啓太はクスッと笑って、私に顔を近付ける。


それは、キスが出来る距離。



「っ…!?」



「やっぱり可愛いね…姫嘉ちゃん」


ぎゅ、と抱き締めるように、私の背中に手を回す。

いや…抱き締められてますけどね。


「ちょ…ちょっと待って!」


こんな事しに、ここに来たんじゃない!



「つば、きを…返してっ」



「あぁ…そうだったね」


私をきつく抱き締めながら、啓太は余裕の表情で笑う。






「いないよ、ここには」