◆司side◆


…夢を見てると、本気で疑った。



目の前で姫嘉が泣いていて、


俺の事を好きだと、そう言ってくれた。



溢れる感情を言葉に出来ず、姫嘉を抱き締める。



「っひ…っく…」


「泣くな、姫嘉」



姫嘉の涙は止まらない。


「嬉しいの…っ、すごく…っ嬉し……」


しゃくり交じりに、姫嘉は言葉を繋げる。



「分かった…分かったから」


砕けてしまいそうな細い身体を、なるべく優しく抱き締める。



愛しすぎる、この感情。


姫嘉の涙を拭いながら、目を合わせる。



赤く充血している、姫嘉の潤んだ瞳。


それでも必死に涙を堪え、俺から目を逸らさない。




「誰にも渡さねぇ、逃がさねぇからな」



コクンと頷く姫嘉が可愛くて、小さく笑う。


そのまま、ゆっくりと唇を重ねた。





後悔させねぇ…俺の女になった事を。