ブーブーブー




どれくらい時間がたったのだろう



どんなに涙を流したのだろう





私が足元に落としてしまった携帯はさっきから大好きな人からの着信を知らせている





着信:中尾さん



出るかどうか悩んだ



けど声が聞きたいという気持ちが強くて



私は電話にでた




「もしもし」




「お前何しててん?何回電話しても出ないやん」




「ごめん…友達と学校で課題してた…」





泣いてたなんて言えなかった




電話ではなくて奥さんのことは直接聞こうと思った





「お前…泣いてた?」



「えっ何で?」



「お前のことは何でもわかるから」





「…中尾さんに会いたくて寂しくて泣いちゃった」




とっさについた嘘−



中尾さんは笑っていた




けど



私は



心がズタズタだった



あなたのその笑った声



優しい言葉



温かい手



1番好きな
くしゃっと笑う笑顔




みんな




私のものじゃないんだね





苦しい


苦しい




苦しいよ