少し話は戻るけど


私は派遣会社からこの運送会社に派遣されﾊﾞｲﾄしていた




たまに女の子がくることもあったけど基本的に女は私一人で年上の人ばかりの職場だったから男の人も私を妹のように可愛がってくれた




ある日ﾊﾞｲﾄの待合室で一人の男の人が私に話しかけてきた





彼の名は田岡さん




「最近ため息ばっかりついてるけど大丈夫か？悩んでるんやったら聞くよ」



中尾さんのことは親しい人にしか言わなかった



彼の職場の人にしられたら大変なことになると思ったからだ





「いえ、大丈夫です」



「なぁｱﾄﾞﾚｽ教えて」





いきなり、田岡さんは聞いてきた



正直教えたくなかった…けど彼の目は断ることをさせない…



そんな目をしていた





運悪く携帯をいじっているところだったので断ることもできず、私のｱﾄﾞﾚｽは田岡さんに知られてしまった




仕事が終わると早速、田岡さんから電話があった




疲れていたのと、あまり話をしたくなかったので、その時はでなかった



次の日にすごい数のﾒｰﾙや電話がきて、驚いてしまったが、その日の深夜にまた電話がかかってきた



出たくなかったけど、また出るまで電話がくるだろうし、一緒に仕事することもあるので渋々、電話に出た




田岡さんの話は長くて、仕事の話から趣味、休日の過ごし方など、彼のことが全てわかるんじゃないかっていうくらい続いた



一方的な話にうんざりし始めて、何時間もたったが、終わる気配もなく、耳も痛くなってきた




その時…



携帯がすごく熱くなって急に画面が真っ黒になった



壊れたんじゃないかという不安よりも、長い長い電話から解放されたという喜びの方が大きくて、眠りについた