わざわざこんなに立派にすることないのに、







……あたしはキライ。





こんな家。ただ寂しいだけだ







「………………」



あたしは無言で門を潜り、家の中に入った。






そして長い階段を登った。







「おかえりなさいませ。」



「…………ただいま」






お手伝いさんがすれ違いに話し掛けてくる






一緒の家に居座っているのに。どこかよそよそしい…………






話したことも。名前すら知らない。




――ガチャッ……―。


「…………ふぅ」


あたしは自分の部屋に入った。







……自分の家がこんな重苦しいなんて……


嫌だ





一人部屋には必要のないくらい広いスペース。






しんみりとしていて、物音がしない空間。






独りぼっちというこの感覚……






「……寂しい」






怖いんだ。この家が





寂しくて。居ずらくて…………、




更には。あたしはもうすぐ死ぬだなんて……





「……嫌…………。」






もぅ。何もかも嫌…………。