――――……




ガタンゴトンッ……―ガタンゴトンッ…―。






車の中。赤信号で止まったあたし達の車の横を電車が通り過ぎる





「…………決して、追い付けない気がする」





正喜と言う名の『その人』には、


どんな人なのかだとか、何をしているのか、どうして今居ないのか…………。






あたしには。ソコまでたどり着ける気がしないよ…………








あの電車のように…。乗り遅れたら最後。






絶対に戻ってきてはくれない




追い付けたりなんかしない








……でも、正喜があり得ないくらいあたしの中に存在している。






消えないんだ。正喜との小さな思い出が






だけど。今あたしの心は、感情は、

正樹じゃなく、吉濱を求めている






……記憶は…。正喜との思い出を探してる






本当はどちらを求めている…??







……わからないけれど…





あたしは。『その人』がどんなに遠くに行ってしまってても。


今は、それを追い掛けていたい






吉濱の傍に居たいけれど……。あたしはただの思い込みなんかで傍に居たくない…………





本当に好きな人の傍には、



相手が自分を好きだと自覚してから傍にいたい…………









そんな…………意気地無しな自分が居る