「…はい…大丈夫です…。」

そう言いながらその男の人は顔をあげた。

するとその顔は傷だらけだった。

「顔傷だらけじゃないですか!早く手当しないと!」

「大丈夫です。ちょっと殴られただけです…。」

「ちょっとじゃないです!私の家すぐ近くなので、そこで私が手当します。お風呂も貸しますから!」

私は知らぬ間にそう言っていた。

そしてその人を支えて早速家へ向かおうとして、私がその人の肩を持った。

そのときその男の人は丁寧にこう言った。

「大変申し訳ございません。」

大変申し訳ございませんなんて普通の人だったらそんな丁寧に言わないよね?

そんな疑問を持ったものの

「いいですよ。私人をほっとけない性格なので、助けなきゃって思ったらそうしないと気が済まないんです。周りにはほっといてってよく言われます。」

と笑いながら返した。

すると

「ふふっ」

と隣で笑う声が聞こえた。

そのときなぜだか私はその人の笑顔にキュンとしていた。

この人が私の運命の人になるなんてそのときはこれっぽちも思ってなかった…。