「おい!中西!大丈夫か?」

話を聞いた先生が駆け付けた。
 その時にはもう、かおりの手首からは3本くらいの筋で血が流れていた。


 「中西!おい!」
 呼ばれてもかおりは返事をしないどころか、顔を先生の方へ向ける事も、表情を変えることもしなかった。
 

 先生たちが話した結果、かおりは養護の先生と一緒にいて、みんなの帰りを待つことにした。

 「中西さん、落ち着いてね?怖がらなくていいからね?」
 と、養護の先生は言ってくれたけど、結局一番怖がっているのは、その張本人で。
 
 かおりの耳には何も入らなかった。
 意識を失ったわけでもないけど、何も耳に入らなくて、どうしようもなかった。