みゆきが我に返った。
 「かおり?かおりかおりかおりかおり・・・・」

 全然我に返ってない。
 ただ単に、どちらかというと覚醒しただけで、100%動揺だ。
 晴香は、口をぱっくり開けて、見ているだけで。


 いっそのこと、
 物凄く深く、首元に刃を入れてやろうかと思った。
 一番恐れた事がこれからはじまるのがわかっていて、
 どうやって生きていけ、というのかわからないから。



 でも、中西かおりはやっぱり極度の臆病もので、そこまでは行き着かず、手首をスラリとなぞるだけに終わった。