左のトレーナーの裾をめくる。
 少しずつ・・・傷跡が見えてくる。



 よくバレなかったものだ。
 もちろん部屋に付着した血液は拭き取っていた。
 手首を切る刃物は

 母が死んだ時に、母の部屋にあった刃物を遣っていた。

 家族はなんて鈍感なんだろう?
 それとも私を見てくれていなかった?
 どちらにしても、最悪な親だ。



 袖をまくしあげた。


「え?かおり!!!?」
みゆきの声が間近で響いた。

「何・・・これ?」
晴香の声が冷たく凍えた。

「なにこれ?やだっ。かおりこんなことしてたの?まさか・・・・リストカット??


 イヤァ~~!ッ」


 叫びたいのはこっちの方だ。