ハァハァ……。

私と由香は息を切らした。

「なに。なんでそんな急ぐのさ。なんかあったの?」

由香が階段に腰をおろす。

「由香!どうしよう!」

「どうしようって…。」

「どうすればいい!?」

「はぁ?知らないよ。どうしたの?昨日の夜なんかあった?」

由香は相変わらず長い髪をとかしながら喋る。

「あった。」

「なにがあったの。」

「………わかんない。」

「それは重症だよ。」

「なにから説明すればいいかわかんない。」

とにかく私は小さい頃から言葉にして伝えるのが苦手だ。

「なんでもいいから、単語とか並べてみ?」

「………えと、ミント。」

「ん?うん?それから?」

「私、今、男、家出、……住んでる。」