お金を払ってタクシー
から降りると、東口へと
向かった。


デニムを履いた細長い足を、
黒のトレンチコートから
覗かせた美菜が立っていた。


「ごめん、美菜。
今日は、隆広くん
とデートだったよね。」

背の高い美菜を見上げ
ながら、謝罪した。

「ううん。大丈夫。
友達が大変な目あってる
のにほっとけないでしょ。
それに、家に帰れば隆広
にいつでも会えるし。」

「ありがとう。」


美菜と隆広くんは1年前
くらいから同棲を始めた。
仲のいい2人を邪魔を
したくはなかったけど、
1人ではいられなかった。