『圭祐、まだ納得出来てない
みたいだから、話した方がいいよ』

美菜に言われた言葉が頭を過ぎった。
圭祐からのメールも電話も
答えなかった。教育実習が始まって
忘れていたのも事実だった。

連絡がとれなかったから、わざわざ
ここまで来たのね。

私の部屋の合鍵は、お母さんと
美菜しか持ってない。
だがら、部屋に入れなかった圭祐は
マンションのエントランスで待ち伏せ
をしていたのだろう。

ある意味、圭祐も忠犬ハチ公
かもしれないけど、三ノ宮くんとは
大違いだわ。

「おい、希?聞いてるのか?」

圭祐に全く反応しなかったため、
圭祐が私の顔を覗き込んだ。