再び歩きだそうとした
私の右手をバーテンダーの
青年はつかんだ。


「ちょっと、何すんのよ!」

ヒールで転びそうになり
ながらも、青年を睨んだ。

「そんなに、彼氏が好き
だったの?」

「あなたに、関係
ないでしょ。離して。」


手を振り切ろうとした瞬間
もっと強く、手を引かれた。
そのせいで、あろうことか
青年の腕の中に捕われて
しまった。

身長があまり大きくない私は
長身の青年の腕の中でもがいた
けれども身動きをとれなかった。