私はママを幸せにしたくて、いい子になることに決めた。言い訳のしない、素直に言うことを聞く、明るく笑顔を絶やさない、いい子…かけっこで1位もとった。ひらがなを全部かけるようになった。
これをしたらママは喜ぶかな?これをしたらママは笑ってくれるかな?そんなことばかりが、私の頭の中を占領していた。
でもそんなことしても、ママは幸せになるはずなんてなかったんだ…
私はいつもの様に庭のチューリップに水をあげていた。いつもの様にママはそれを眺めていた。それなのに、ママが突然いなくなった。
「ママぁ?」
家中捜しても、どこにもいない…
「ママぁー!!!!」
涙が次から次へと溢れる…私は家を飛び出した。泣いていても埒があかない。しっかりしろ!!と自分に言い聞かせた。
その時、ふと視線の先にあった隣に建つマンションから、なにかかたまりが落ちてくるのが見えた。
それが、ママだと気付くのに時間はかからなかった…