ママは桜が嫌いだった



「見てて痛々しい…」と言っていた






あたしは好きだ



儚いからこんなに綺麗で切なくなるけれど、だからこそ、しっかり見ていてあげなきゃいけない気がする











「桃花、もうすぐだね」


幸が心配そうな顔をのぞかせる












…そう、もうすぐでママの命日だ








「うん」









心はまだ解放されない






だけどいつもと違く、なぜか少しだけ穏やかな気持ちになれるのは、この綺麗な桜のせいか…