「桃花、今日は大胆ぢゃん」
私に腕枕している男は、にやけながらこちらに顔を向けた。
セックスの後の余韻に浸りながら、腕枕をしてもらうのは好き。隣にいる男のすべてが自分のものになったと、錯覚を起こせるから…
「ちょっとね」
ベッドの中に顔をいれた。このなにもない私の部屋に、この男がいて私がいて、身体をくっつけ合いながら暖め合う行為は、愛があっての事ではない…
ただなにかを埋めるように抱き合う。欲は尽きない…
「彼方はなんで私を抱くの?」
聞いても無駄だとわかっている。この男は本心をさらけ出さない。
「さぁね」
ほらね
聞いても無駄
まぁ意味などないのかもしれない…私たちにとってセックスは、ただ身体を触れ合わす儀式なのだ