私たちは下校の音楽に追われるように、学校を後にした。
「どっかよってく?」
幸が指を町の方へと向けた。町にはちょっとした、お洒落なカフェが並んでいる。最近できたケーキ屋さんは私たちのお気に入りだ。
「うーん、今日はやめとくよ」
あの夢のせいで、今日はそういう気分になれない…
「そっか。んぢゃまた今度ゆっくり行こーね」
「うんっ」
幸は何かしら気付いているのだろうか。私の手を握ってきた。あえて聞かないで、そっと「一人じゃないから」と伝えてくれる…それがどれだけ私の支えになっているのだろう…
「桃花、うちに泊まりに来る?」
今日だけは独りでいたくなかった。
「そうしよっかな」