去年赤ちゃんが生まれた。女の子だった。愛しい花で「愛花」。私に妹ができた。
愛花が生まれてパパは笑うようになった。みんな「愛花、愛花」と愛花を可愛がる。
けど私は愛花の事を妹とは思えなかった。あの女の人も…ただ家に入り込んだ他人としか思えなかった。
私は女の人と上手くいかなかった。愛花も私をお姉ちゃんだと思っていなかった。
居場所がなくなっていく。
薄い壁から聴こえてくるあの人の甘ったるい声も、パパの吐息も、愛花の泣き声も全部嫌だった。
私は家を出ることをパパに告げた。パパは「なんで一人暮らしをする必要があるんだ」と反対してくれたけど、邪魔者がいなくなって、内心嬉しいんではないかと思った。パパは最終的に私が一人暮らしをする事を許した。
私は今、パパが買ってくれたマンションで生活している。