朝食を食べおわり時計を見ると、すでに十時を回っていた。

鎗の目の前でずっと食べるのを見ていた医者にごちそうさまを告げると、そっと笑いかけてくれた。

「おいしかったかい?」

医者が微笑んだまま言った。

「はい、とっても。」

鎗の口調にも自然と余裕がでてくる。

「よかった!!口にあわなかったらどうしようかと思ったよ。…………それじゃぁ下まで送るよ。」

鎗は一瞬違和感を感じたが、その違和感の発信源がわからないため保留という形で抑えた。












1Fロビー

鎗はほぼ無言でここまで来た。

出入口の自動ドアに近くなるにつれ、鎗の足が若干速まる。

自動ドアの前で振り返り、さっきの医者を見つけると、その人に向かって深々と礼をして病院をあとにした。