「昨日…どうした?」


「ぇ…」


「屋上で…待ってたんだけど」



…─!!



「ごめん…、忘れてた」


恭平はニッと笑うと、私の頭にポン…ッと手を置いた。


「しょうがね─な…初純は」






…─キュンッ









恭平と目が合い、揺れる気持ちがおさまっていく。





「ごめんね」


「ん」





恭平は返事の代わりに、麦茶のキーパーのふたを閉め、それをひょいっと持ち上げた。




「先、行ってるぞ」






「…うん…!」









そう言ってすたすた歩いていってしまった恭平の背中は、なんだか大きく見えた。