放課後、あたしは真里に連れられて職員室に向かった。
「ごめんねっ、すぐ終わらせてくる！」
申し訳なさそうに手を合わせて謝る真里が面白くて、思わず笑った。
「平気だってば。早く行きなよ」
「うんｯ」
真里は急いで職員室に入っていった。
あたしは１人、廊下に立ち尽くす。
ここにいたら新米先生に会っちゃうかな…
そんな事を考えて周りを見渡す。
たとえ、あの先生が泰智お兄ちゃんじゃなかったとしても、会いたくはない。
遠くて顔まで見えなかったけど、背格好とか雰囲気がかぶる。
「今頃、何してんだろ…」
誰に言うでもなく、自然と口から出てきた。
会いたくない。
……はずなのに…――
「職員室に用がある？」
「ぅわあｯ…!!?」
いきなり後ろから呼び掛けられた声に、思わず肩を震わせた。
……びっくりしたー…。
「あ、ごめんね？驚かせるつもりじゃなかったんだけど…」
「いえ、大丈夫です」
自分のリアクションに赤面する。
恥ずかしすぎて顔を上げれない…っ
「本当に大丈夫…？」
向こうも気にしてるっぽかった。
あたしは未だ顔を伏せて小刻みに頷いた。
