携帯電話を握りしめたまま、眠ってしまった。 起きてからもすぐに動く気になれなくて、いまもぼんやり画面を眺めている。 太陽の光でカーテンの色は明るい。 あたしは静かにぶら下がるピンクのストラップを見つめ、指先でぱちんとはじいた。 「……戻りたいな」 付き合い始めた頃に。 色褪せて汚れまでついた、ストラップ。 洗えば、もらったときのようにキラキラ輝くのかな? そんなことを考えていたとき、手のなかがブルブル震えた。 電話を鳴らしてきたのは……。