大きな音を立てて薄暗い街を走り抜けると、山へと続く道へ入っていく。


初めての2人乗りは少し怖いけど、とってもいい気分。



緩やかな山道を登って、展望台の近くにバイクを停める。


「こっち、来て 」


彼の手を取って足を地に下ろすと、行き止まりになっている柵まで進む。


「うわぁ……何これ 」


山々の中に浮かぶ湖に、夕日が飲み込まれていくように映し出されている。


こんな素敵な場所があったなんて。


「夕方の景色もいいけど、晴れた日の瑠璃湖はもっと最高なんだ 」


そう囁く彼の横顔が、ほんのり夕焼け色に染まった。



《21へ》