休み明けの登校は、たまに憂鬱なものがある。


バスを降りて、しばらく歩いて校門へ入る。


教室へ行くとすぐ、鞄を置いて廊下へ出た。

社会科係だから、授業前に世界地図や資料を準備しなきゃいけないの。

資料室のドアを開けると、メモ用紙を見ながら棚を探す。


「えっと、まず資料3資料3……キャッ 」


奥へ進むと、誰かが棚にもたれてしゃがみこんでいた。

びっくりしたぁ……


「あれ?麻里也じゃん 」


座ってそう呼び捨てしてきたのは浅香直斗だった。

いろんな所に出没するんだな。

また、女の子から逃げてたみたい。


「何が楽しくて追いかけるんだろうね 」


呆れた、というか困った表情でため息を着いた。


じゃあ、なんで私には自分から話し掛けてくれるんだろう。

ただのうぬぼれかもしれないけど、嫌われてはないって事だよね?


話してみると、浅香くんはつくづく人気者なんだなって実感した。

また、ほんとはすごく繊細で、普通の男の子とあまり変わらないのかなって思った。




《30へ》