「きっと、気付いたらその人の事を見てて、もっと知りたい。一緒にいたい。そう思ったら、好きになってるんじゃないかな 」


おばさんは、懐かしそうに答えてくれた。


「麻里ちゃんのお母さんも、そう聞いてきた事があったわ 」


お母さんが……

学生時代、“好き”っていう意味が分からなくなって、1つ上だったおばさんに相談した事があるらしい。


自分を想ってくれる人が2人いて、どっちも大切だった。

一緒にいて楽しかったし、自然体でいられた。


でもお母さんは、お父さんを選んだ。

それはどうして?


そこまでは教えてくれなかった。


湯槽に浸かりながら、ちゃぷちゃぷと水面を揺らす。

私は、2人の事をどう見てるんだろう。

2人は、私の事をどう見てるんだろう。

考えれば考えるほど、恋って難しいなって思った。




《35へ》