夕食は沖縄の食材をたくさん使った料理が出た。

一人だと料理と料理の間がちょっと手持ち無沙汰だったりするけど、泡盛のロックを頼んだから、それを飲みながら背もたれにゆったりもたれて待った。

すごく美味しかった。
料理もお酒も。

たくさん写真も撮った。
知らなかった名前の野菜や魚の料理、それから、ホテルの庭に流れる小川、コンクリートの壁に張り付いた綺麗な色の蛾、中庭の池から生える木々。

夜になると、蛙や鳥や虫や、色んな生き物が鳴く声がした。

ほーっ、ほーっ、きゅっきゅっきゅっ、つくつくつくつくつく....

生き物の気配って凄いなぁと感じた。
外灯がなく、ちょっとホテルの前に出て見たら真っ暗な空、一寸先は闇。

月もなくて、本当に真っ暗だった。

自分の前にずっとずっと広がる、底知れぬ本当の闇なんて初めてだ。
しかもその見えない闇の中に、確かに生き物が潜み、時にうごめいている気配がするのだ。

見えないのに、いや、見えないからこそ、むしろ感じるのだろうか。
生き物がいる気配、なんて、都会では感じたことのなかった気配だった。

私はその夜、不思議な、そして神秘的な気配に包まれていた。

翌日はすっきりと晴れ渡り、空は青かった。

私は西表島でネイチャーツアーに参加して思う存分楽しんだ。

川でカヌーを漕いだり、泳いだり、ジャングルの中を歩いたりするツアーだった。
しかし、思いっきり楽しんだ結果、ライフジャケットのポケットにデジカメを入れているのを忘れたまま、森の中の川で泳ぎ、おまけに岩の上から川に飛び込んだものだから、デジカメを壊してしまったのだけど。

そうして、夕方にホテルに戻ってきた。

デジカメはお釈迦にしたけど、そんなことは仕方ないや、って思えるくらいカヌーを漕いだり、泳いだり、飛び込んだりしたことにとても満足していた。

それで、穏やかな気持ちで部屋でのんびりしていた。

私もずいぶん、のんびりする、ということに慣れてきて、のんびりする、ということが出来始めてきたようだ。

さぁ、明日は石垣島だな、何をしようか、と考えた。