「その手についてるの、何?」
私はいつも通りを意識し、早瀬に話しかけた。
早瀬の手首には透明なブレスレットがついている。
私はそれが気になっていた。
「……秘密」
早瀬は半笑いしながら言った。
「なんだよ」
私は、あっそという風に前に向き直る。
早瀬は、私と話しているときはほとんど笑顔のまま。
それがすごく嬉しくて……。
彼の笑顔をもっと見たくなってしまう。
それは、別に好きなわけはなく、人の笑顔をみるのが好きだからだ。
しばらくして、先生が帰りのHRを開くために教室に訪れた。
私はその間太ももの上に鞄を置きお菓子を食べていた。
正直、こういうことはよくする。
前は寝坊をして、朝ご飯を食べ損ねたので、パンを食べたり、暇だったらケータイをいじったり…と、実際に見つかったことはないが隠れ問題児だった。
早瀬はそんな私をみていつも「何食ってんのー」とちょっと怒る。
そんなこと言う早瀬は、職場体験のバスの中でPSPをして取り上げられていた。