しゃがみこんで立とうとない私の手を先生はひっぱって理科室に入った。

先生は数学の先生なのに。
どうして理科室なの?

教室のあるところから離れたところにある第1理科室

期待しちゃいけないって分かってるのに
期待してしまう私が居た。

いつまでも泣き止まない私に先生は優しく微笑んでくれた。

先生
私に笑顔を向けないで・・・
慰めたりなんてしないで・・・

そんな私の気持ちは虚しくも無視された

先生は優しい
そんな先生が泣いている子をほっとけない事ぐらい分かっていた。

でも、今慰められたらきっときっと先生に『好き』って言っちゃうよ

さっきから先生は私の顔を心配そうに覗き込む
そして

「いい加減に泣き止め!お前は幼稚園児か?」

って笑う。

きっと、先生は私を笑わせようとしてるんだ。

先生の眩しい笑顔
私だけに向けられた最高の笑顔

先生を独り占めしてるのに泣いているなんてもったいない

私が泣き止んで先生を見ると
先生はさっきよりもっと眩しい太陽みたいな笑顔で笑ってくれた。