理科室に着くと

先生は真面目な顔で
「相談って何だ?」
なんて言う。

さっきまでイタズラばっかりしてたのに。

先生はしょっちゅう私にイタズラをしてきた。

髪の毛を引っ張ったり。
ほっぺをつついたり。

先生にさわられたほっぺはみるみるうちに
真っ赤になって先生に
「ゆでだこみたいだぞ」って笑われた。

無邪気に笑う先生はとっても可愛くて
思わず抱きしめたくなったぐらいだ。

「おーい。吉田。相談って何?考え事してないで答えろよ。」

だって、先生があんな事するから・・・

でも、今は先生に私の不安全部吸い取ってほしかった。

「先生。あのね・・・昨日先生が家に送ってくれたあと、家に入っても誰も居なくて・・・寂しくて、寂しくて・・・」

泣きそうになるのを必死にこらえて
先生に話す

「そしたら病院から電話、かかってきて。お母さんが倒れたって。入院してるから今から来てって言われて・・・。私、頭ん中真っ白んなっちゃって。よくない事ばっかり考えてっ。うぅ・・・っ」

私は我慢できずに泣き出してしまった。
そんな私の頭のなでながら先生は
「大変だったな。辛かったな。」
って言って私を抱きしめてくれた。

先生の腕のなかは暖かくて落ち着いた。

「俺の連絡先教えるから、何かあったら電話しろよ。」

先生はそういって携帯の電話番号とメアドを教えてくれた。

「でも、先生。生徒に連絡先教えて大丈夫なんですか?」

「あ?お前は特別。なんかほっとけないしな!」

特別-
その言葉に期待してもいいの?
さっき、抱きしめてくれたのも特別だから?

期待しちゃダメだって分かってるのに
どうしても期待してしまう。