開いた口唇にフォークの端が触れたのを感じ、あたしはゆっくり口を閉じてケーキを食べた。

「……?!」

口の中に広がるケーキの味に、あたしは思わず目を見開いた。

「どーしたの??」

少し驚いた様子のソラさんがあたしの顔を覗き込んできたけど……

「すごく美味しいです!!」

思わず大きな声でそう切り返していた。

身を乗り出す勢いのあたしに、ソラさんは少しだけ身体を仰け反らせた。

でも、すぐに身体を元の状態に戻すと、ソラさんは柔らかく笑んで見せた。

「そう。なら良かった」

そうゆうと、ケーキをまた切り分け、フォークをあたしの口元に持ってきた。

…………

「……食べないの??」

ケーキを動かずに見ているあたしを、ソラさんが不思議そうに見つめた。

「え、と……食べます」

ゆっくり口を開き、あたしの口の中に再び甘い味がじわりと広がる。

鼻孔に抜けるケーキの香にあたしが慣れても、恥ずかしいと感じなくなる事は無いみたいで……。

ケーキを食べ終わるまで、あたしはまともにソラさんの瞳を見ることが出来なかった。