「うわっ?!マジで大丈夫か?湊先輩」

湊先輩の顔を覗き込んだ那智くんは、本当に心配そうに顔を歪めた。

……湊先輩、大丈夫かな?

すごく痛そうな音してたし……絶対に痛かったよね、きっと。

心配になって湊先輩の顔を覗き込むと……




――――湊先輩はうっすらと口元に笑みを浮かべていた




「あの……、大丈夫ですか?」

笑顔を見せた湊先輩が、更に心配になって思わず声をかける。

覗き込んだあたしと目が合うと、湊先輩は優しく笑った。

「ん〜さすがに痛かったけど……、大丈夫だよ〜」

後頭部を擦りながら、湊先輩はさっきまでの読めない笑顔じゃなくて、苦笑いを浮かべた。

「ふぅん?」

ソラさんは気の抜けた返事をすると、湊先輩の脇を素通りしてあたしの隣に座る。

「ソラさん、それ……どーしたんですか?」

まだ頭を痛そうに擦っている湊先輩を気にしながらも、あたしの視線はソラさんの手元に向いていた。

隣に座ったソラさんの手には、美味しそうなケーキがのっていた。

「……僕が作ったんだよ」