那智くんが鞄から取り出したのは……、分厚い"辞書"??

ソラさんは那智くんから辞書を受け取ると、持ち上げた……冊子をとじているほうを下にして。

「えっ、側面?!!」

湊先輩は辞書を見て、驚きの声を上げる。

側面でとか……、そーゆう問題じゃないんじゃぁ……。

「……」

ソラさんは無言で湊先輩を見ると……、そのまま手を辞書の重さに任せて振り下ろした。

「っ!!」

あたしは反射的に目を閉じた。




――――バシンッ!!




「いっ!!……」

湊先輩が一度だけ痛そうな声を上げたのが、目をつぶったあたしにも聞こえた。

「……」

その後はしばらく沈黙が続いて、あたしは恐る恐る目を開いた。

あたしの目に映ったのは……、




――――痛そうに顔を歪め、頭を抱えている湊先輩の姿




ソラさんはちょうど、辞書を那智くんに返しているところだった。

「大丈夫なのかぁ……?湊先輩」

無言の湊先輩を心配した様子の、那智くんが湊先輩の顔を覗き込む。