――――………

部屋に入った途端、それぞれが好きなように部屋を歩き始めた。

「……」

唖然とするあたしを置いて、全員があたしの視界から消えたのを合図にあたしも急いで部屋に上がった。

「お〜、家具はちゃんと揃ってるみたいだねぇ〜」

湊先輩は室内を見回すと、そうこぼした。

「このソファー、すっげぇ座り心地いいっ!」

那智くんはソファーの上ではしゃいでいる。

「食材と調理道具も揃ってるようですね」

時雨くんは、キッチンの中を見回して、顎に手を当てながら何かを考えていた。

「……」

ソラさんは無言でソファーに座り、何かを考えているように見える。



「湊先輩って、料理作れますよね?何か作ってもらえませんか?」

キッチンから戻ってきた時雨くんは、開口第一に湊先輩の前で言った。

湊先輩って、料理出来るんだぁ、と感心してしまう。

突然話を振られた湊先輩は、一瞬驚いた顔をした。

そのまま湊先輩は視線をあたしに走らせる。

「俺はいいけど〜…、來美ちゃんはいーの?」

それはどーゆう意味の"いいの"なんだろ……?

作ってもいいって意味だったら…………、

「むしろお願いします。あたし料理できないから……」
あたしは湊先輩にペコッと頭を下げた。

「分かった〜、じゃあキッチン借りるよ〜」

湊先輩はそのまま時雨くんを連れて、キッチンに入っていった。