「っ、ソラさ///」



ソラさんはあたしを軽々と持ち上げると、玄関に向かって護衛を避けながら走りはじめた。

「玄関についたら、すぐにオートロックを解除してください」

風のせいで目を開けられないけど、時雨くんもついてきてるようで声だけが聞こえた。

後ろから護衛達が追い掛けてくる気配がある。



――――………

「着いたよ、來美」

すぐにソラさんの動きが止まって、着いたことが分かった。

あたしはソラさんに地面におろされると、オートロックを解除した。



「退け、貴様ら。お嬢様は連れて帰る!!」



後ろを振り返ると、護衛達がソラさんと時雨くんに掴み掛かっているのが視界に入った。

「……はぁ、いい加減しつこいよ。來美、30秒だけ目閉じて耳塞いでてくれる?」

ソラさんはこっちを見ないまま、護衛を見ながら呟いた。

っ、なんで?

なんだか目を閉じたらいなくなっちゃいそうで……閉じたくない。



「來美。僕はどこにも行かないよ……?」



ソラさんは少しだけ後ろに視線を走らせると、あたしを見た。



……ほんとに??



ソラさんと目が合う。

あたしはコクリと一度頷くと、目を閉じ耳を塞いだ。



――――ソラさんなら信じられる。