「まず、このボリューム満点の、うねりくねった髪の毛を何とかしなきゃな〜。」



そう言うと悠真は、私の髪を触った



(何か…、ドキドキする…)


この気持ちが、





『恋』






という気持ちなど、まだ私は全く知らずにいた。



悠真は、私の髪をサッサッとなんなくすいていく。



その間、しばらく沈黙が続いた。



あまりにも気まずかったので、何か会話はないかと必死に探した。



「ゆ、悠真はさぁ、何でこう言う作業上手なの?」



「………………」




「悠真?」


しばらく黙り込んだあと



「…俺ん家さぁ、母子家庭で、母親が仕事でほとんど家にいなくてさ。

四歳下の妹がいるんだけど、そいつの世話してやれんの俺しかいないからさ…。

んで、こういうことが身に付いたってわけ。」

「ハイ!終了。」


気が付けば、髪の毛はスゴくきれいにすかれていて、ボーイッシュな感じに仕上がっていた。

「ありがとう。」


と、お礼をいうと、


「どういたしまして。」


と、笑顔で返してくれた。


(悠真もこんな環境で育ったんだ…)


少し、親近感がわいた気がした。


けれど、次は

「じゃあ、今度は服装だ!!」


と、言い出した。