「翼のとこ行ってくる」

「おー 頑張るんばぁ」



無駄にハイテンションな那岐を哀れみ

そしてうざがり

あたしは下級生の校舎に向かう。



「いーさぁみ君」

「あ☆心結先輩」



うわ 語尾がキラキラしてるし……


てか

翼の姿 ないなぁ。



「結城ならおらんよ」

「え?」

「魔性の女に呼ばれてん」



魔性の女……って瑞希ちゃんかい?


勇心君が翼の机を指差す。


「………。」


あたし 唖然 呆然 愕然

翼の机に大量のチョコ

そしてプレゼント



「心結先輩おんのにイケナイやつやろぉ?」

「………うん」



パーフェクト颯斗とは大違いじゃん。

何ちゃっかりいただいてんのよ、ん?

断れよ 彼女いるじゃんか……




ふつふつと怒りがこみ上げてくる。



「まっ誕生日やからなぁ~」

「………。」



そうだった。

怒りバロメーターが急降下

あたし プレゼント用意してないんだった。


怒ってる場合じゃないし、ヤキモチ全開にしてる場合じゃないや

怒られるのはあたし





「あれ 心結先輩?」


名前を呼ばれて振り返ると

翼と瑞希ちゃんが立っていた。