颯斗を見て思う。

去年はたしか、両手に紙袋なくらいチョコレートもらってませんでしたか?



「颯斗、どうした?」

「なんだよ。みんなしてそんな目で見て」



……モテ期が過ぎちゃったのかな



「可哀想にっ」


あたしに抱きつきかけてた那岐が颯斗に飛びつく。


「彼女ができたからだよ。仕方ないって」


灯璃までもが励ます


「八嶋がやるよ。チョコレート」


……同情?


「いらない」

「え?」

「彼女いるし、受け取ってないんだよ」


「「………。」」



一同しばし沈黙


「颯斗 最強じゃん」


あたしが言う。


「下駄箱とか入ってなかった?」

「全部返した」

「………うっわー」





ひどいとは言えないけど、受け取るくらいすればいいのに。



「じゃあコレも無駄になっちゃうなー」


これまだ義理"ってでっかく書かれたチョコレート



「あたし食べる!!」

「………やーだ」


灯璃に2つ目あげるくらいなら自分で食べてやるわ。



「ちょうだい」

「え?」


言ったのは予想外に颯斗だった。


「え……でも」


ポリシーは?


「心結は特別だから」