「ぽち君」

「………。」

「これは交渉だよ。あたしのために別れようよ」



唯菜さんの顔から笑顔が消えてる。




「あたしにはこんなことやってる時間ないの」

「………。」

「心結にもぽち君にも悪いけど、警告しても聞かないでしょ?」


「………。」

「あんたにだって悩んでる時間ないんだから。お願い」



ぶっちゃけ



「別れて」



そろそろ限界だったりする。



あーあーあー



もうヤダ。

こんなことならあの日
無理やりでも先輩としとくんだったな。



「翼 いるのー?」



教室の外から心結先輩の声が聞こえる。

なんでいるの?


てか

こんな時に先輩の声聞くのはまじでヤバい!!





「どうする?ぽち君」


近づいてきた唯菜さんが俺の耳元で囁く。


「今 キスしたらヤバいよね?ヤバいでしょ」

「……まじやめろ」

「ふふっ 可愛いなァ」




―ちゅっ



ごめん先輩

無理かも。





「カギねぇ。ドアのとこにさしっぱなしになってたりするの」

「………え?」






―ガチャ




「…………あ」




最悪の状況で心結先輩と鉢合わせる。