日向さんが私を軽く抱きしめる


「俺のこと…忘れない?」


「うん…絶対忘れない」


「わかった…イタリア行くよ…」


日向さんの言葉に胸が詰まる


これでいいんだ


「ん…頑張ってね」


「姫…俺…絶対帰って来るから…待ってて?」


「ん…」


私は日向さんの肩に顔を付けて頷いた


泣かないって思っても、涙が溢れてくる


我慢しようとすればするほど、体が震える


キュッ


日向さんが、息が出来ないくらい、私を抱きしめ、名前を呼んだ


「すみれ…」