「だって…日向さん、用事あるから」


「だから、サッサと済ませて帰るって言っただろ?」


「お願い…放して…私も大学のレポートあるし…また明日から大学だから…」


レポートなんてないけど、嘘をついた私


日向さんは、溜め息をつきながら私の腕を放した


本当の気持ちを言えば楽なのかもしれない


でも…日向さんのイラストレーターとしての負担になるワケにはいかないよ


「土曜日、マキの結婚式だから…それまでは俺…喫茶店、行けないかもしれない…」


「うん…わかった…ウェルカムボード、頑張って仕上げてね」


私はニッコリして、歩き出した


1週間会えない


結婚式が終わったら、イタリアに行っちゃうんだよね


もうずっと会えないかもしれない


不安が私を襲う