「聡くん…都ちゃんも危ない…」





きっと今、1人なはず。


だったら尚更…





「…」



私は見逃さなかった。


私の言葉を聞いて、
一瞬だけ見せた



強い眼差しの真剣な表情をした
聡くんを。






さっきの顔、時折見せる啓にそっくりや。



急に聡くんが言った。


「仲本さんと風岡くんは、ここにいて。俺、探してくる」


しっかりとした口調ではなかったが、ヘタレを感じない台詞だった。




「悪いな。美緒が落ち着いたら、俺らも探す」





啓が私に触れている手に力を入れる。



啓…今は都ちゃんを優先せなあかんよ。


私も心配で落ち着けへん。


「啓、大丈夫やから。私も探す」



「はぁ?何言ってん…」




私の頭は既に都ちゃんでいっぱい。


啓に一生懸命、目で訴えた。




しばらくして、啓はため息混じりに言った。



「…無理すんなよ?」




分かってくれた!



「うん!」



「ありがとう、2人とも…」
不意に聡くんの消え入りそうな声が聞こえた。




「お前、そんなか弱そうな声だすなや!お礼はアイツ見つけてから言えって」



バシィ!



「痛いっ!!」



聡くんは、啓に背中を叩かれていた。



痛そう…

な割りに2人とも笑ってる。


「とっとと見つけんぞ!」


「探そう、聡くん」




「…うん」







今度の返事はしっかりした強い男の子の声だった。