「どうしても都の考えてることがはっきりとわからないんだよね…



夢を諦めないでほしかったのか?



って聞いても、違う!の一点張りで…

教えてくれないんだ。




付き合ってても、心が通じ合わなくて…

でも離れたくなくて…





俺、今は立場逆転っていうか………ははっ…これじゃ彼氏じゃなくてただのファンだな…。」




聡くんの声が、最後、震えていた気がする。



「さっき電話で、別れようって言われたんだ。」


ああ、だから都ちゃん、啓がどーのこーの言ってたんや。


嫉妬してたけど、都ちゃんは本気じゃなかったって事やな。



ふと見上げた聡くんの瞳は涙で光を反射した。


あかん、聡くん、今にも泣きそう…




「好きなんだ…都がいなくなったら俺は俺を見失う気がして…

別れたくないよ。」






ああ〜もう!

じれったいなぁ!!




「…都ちゃんに今言ったこと、伝えようや!」


「えっ…仲本さん!?」




私は急いで啓に電話をかけた。


運よかったのかワンコールで啓が出てきた。




《美緒!今何処に…》


「啓!都ちゃんも連れてきて!私達今─」


《ちょ、待てよ?…あ!!》


「あ!!」





電話の声と耳に届いた声が、一緒だということに気づくのに、時間はかからなかった。




「啓!!」




私は聡くんの服を引っ張って、啓に駆け寄った。



見ると啓の右には、カバンを引っ張られて連れてこられた都ちゃんの姿があった。




「連れてきたで。」


「うん。ありがと…」



私は聡くんを振り返った。