「俺、2年前までバンド組んで音楽してたんだ。



で、地域の中では徐々に有名になってて…ファンがけっこーいたんだ。


そのファンの1人が都だったんだけど…」




え…そうやったんや。


「都はその頃、モデルの仕事はしてなくて、ただずっと俺達のおっかけをしてたんだ。


俺はファンの事より音楽優先だったから、都の存在を知らなかったんだけどね。

でもある時、俺が熱あるのにどうしても自分たちのライブに行きたくて、フラフラしながらライブハウスに向かってたら


人にぶつかった拍子に倒れちゃってさ…



情けないんだけど…。」



そんなことない。と私は相づちをうった。


聡くんは微笑んで続けた。



「その時、助けてくれたのが都で…


それから連絡取るようになって、付き合うようになったんだ。」



…やっぱ付き合ってたんだ。



やば、今日の私は勘が冴えてるなぁ。



って!

今は真面目に聞く時だろ、自分!


集中集中…








都はもともとモデルが夢だったから、全国の人に音楽を聞いてもらいたい夢を持っていた俺を見習って
今の仕事をし始めたんだ。



有名になってく俺に追い付きたいんだ!っていつも言ってて…



あの幸せな時期がずっと続けば、今みたいに逃げられる事はなかったのにな…」



「…なんかあったん?」




「…バンドのリーダーで一番人気だった奴が、田舎に帰っちゃってさ。残された俺たちじゃ、何も出来なかったんだ。


人気は変わらなかったけど、仲間が減ると、何かがかけたみたいに心が空っぽになっちゃって。




そんな俺を都は最初、励ましてくれてたけど…




俺が音楽を諦めた後から

段々態度が今見たいになってきて…」