ひと安心したのもつかの間…



《只今、電話に出ることができません。ピーッと鳴った後に…》



しーん…




静まり返った車内にはお兄ちゃんの携帯の音が聞こえた。



……。


「う…うそやろぉ〜!?」

啓はガックリと項垂れた。
きっとずっと車の中やったから疲れてるんやと思う。


「お兄ちゃん、どうする?」

「そやなぁ…。疲れてて嫌やったらこのまま繋がるまで待っとくけど…しんどいやろ?」


「うん。」



「やから、ちょっと観光しに行かへんか?」


「やっ…」

「おっしゃーっ!!それナイスアイデア!!」


私が「やったぁ!」と言おうとした瞬間、さっきまで死にかけやった啓がいきなりよってきた。




…うわぁ……単純。



それから私達は3人で観光に行った。


「あー…はらへった。」

という啓。


「ほんなら飯食うか。」

お兄ちゃんが言った。


「うん!」

私がそう答えた時…。



「あ!」


と、いきなりお兄ちゃんが大きな声出した。


な、何?


「あれ、こないだテレビでやってた店やん!」


お兄ちゃんはキラキラした目でそのお店に見入っていた。


けど、よほど評判がいいのか、長蛇の列や。



「なぁ…」


ま…まさか…。

私と啓はとっさに目を合わせた。


「あそこ行こう。」


でたー!!


「えー…すんげぇ時間かかるやんか。」


「大丈夫。俺が並んどくから、お前らはこの辺でうろうろしてこいな。」


なんだ。

一緒に並ぶんじゃないんや。



「わかった。順番きたら読んでなぁ。」


私はそう言って啓と2人で観光に出掛けた。