「俺さー…多分、高校の間は諦めらんねぇわ。」


…そっか。

でも美緒は俺のやで。



「はぁ…ここまで来て、改めてライバル宣言かよ…。」


俺はため息をついて言った。


「しゃーないやん。美緒ちゃんが可愛すぎんねんから。」



…


俺以外が美緒のこと可愛い言うの聞くとイラつくな…。



「ま、絶対美緒は俺から離れへんやろけどな。」


そう言って俺はふんぞり返った。


それを見てまた笑う佐久間に俺もつられて、その日は珍しく、気分よく眠れた。

こうして美緒との接触がなかったけど、俺はある意味いい思い出が出来たと思った。



─次の日。



「ん…。」


俺は朝から教室の天井をぼんやりと眺めていた。


「やっと起きた…。」


横でポソリと呟いた英二の声がした。


俺は目を擦りながら起き上がる。


が、直ぐにそばにいた英二を見て目が覚めた。



「おおおい!な、何でお前っ…、服はだけすぎやろ!」


何やってんねん、こいつ!


「お前がしたんだっつの!」

は?


「うそつけぇ!」


「はー、啓っていつも美緒ちゃんにどんな事してんねん。」


すぐ隣にいた佐久間にも言われた。



…は??


「お前、寝言でずっと“美緒" とか、“好きだ" とか言いながら俺の服ん中に手入れてきやがって…。」


英二がため息混じりに言う。



…。


俺は自分の手を見つめた。

俺…

俺…



「ギャアアアー!!!」



「あっ!啓が気絶した!!!」


頭の中が真っ白になった。