華子は来た道をひたすら戻った。

もう、自分の姿がそら達から見えないところからは、走るようにして戻った。


前は見ていなかった。


目はきちんと前を向いていたのだけれど、朦朧としていた。


出口だ、その先には祐樹が居る!

それしか考えていなかった。




ドン!!


ちょうど自動ドアを出て、駐車場に向かおうとした時

ドアや壁ではないものにぶつかり、一気に現実に引き戻された。


「華子?大丈夫か?」


祐樹だった。


「祐樹!!祐樹祐樹!!祐樹!!」


華子の顔はぐしゃっと崩れ

祐樹はひたすら華子を抱きしめた。


「もう大丈夫だから!ほら!華子!

 何か言われたの?」


泣いてるの?と、顔を窺ったが

華子はただ、切なそうに祐樹を見詰めていた。


「祐樹……」


「?」