「悠太! 勝負だ!!」


悠太は出てきた相手DFをふたり軽々と抜くと、一気にゴールを目指した。


「よしっ!! よしっ!! よーしっ!!」


興奮したおじちゃんが、陸の肩が壊れるんじゃないかと思うくらいにバシバシ叩いた。


「きゃーっ!!」


行け、行けっ、悠太!

解説者が興奮気味で叫ぶ。


『ドリブルで行く! ドリブルで行く!!』


『おぉっと!! おもしろいですねーっ』


『長谷川がゴールを狙います!!』


誰も追いつけない。


『日本チャンスだーっ!!』


キーパーとの1対1の勝負。


「悠ー太ーっっ!!!!」


悠太の蹴り上げたボールがネットの右上を揺らした。


ゴール。


『日本先制ーっ!! 本日1点目は初召集の長谷川悠太!!!』


心臓が引っくり返った。


「きゃああああああ」



遠く離れた悠太の地元で、悲鳴に近い大歓声が上がった。