「陸と志津ちゃん!! 前に座って見なさい!!」


「そうだ、幼馴染なんだから」


近くにいたおじさんやおばさん達が口々に言って、「ちょっとこの子たちに席空けてあげて!」と最前列の席を空けてくれた。


いっせいに注目を浴びて顔が真っ赤になるのが分かった。


「あほ陸……」


「……ごめん」


俯いた陸が舌を出した。


「私はこの辺で見とるから、前に行っといで」


笑ったばあちゃんに後押しされ、志津と陸は最前列の席に座った。