アナウンサーの軽快な喋りが、ステージ両端のスピーカーから流れ出す。


『さぁ、今日注目は初召集で初スタメンの17歳、長谷川悠太ですねー』


悠太の話題になった途端に体育館では歓声が上がった。

『そうですね、長谷川は留学していてイングランドのクラブチームに所属しているので、きっと良いプレーをしてくれるのではと期待しています』


十数年前、W杯で活躍し現在は解説者の山形健太が頷く。


「すげー、山形が悠太のことを話してる……」


陸が呟いた。


『これからの成長が楽しみな選手のひとりですね』


アナウンサーが話を締めようとすると、山形がニヤッと笑った。


『そして、顔がいいね! これは女性ファンが多くなりそうだ!』


山形のリップサービスに、テレビの中でアナウンサーが爆笑する。

その発言にいち早く反応したのは弘人だ。

ぴゅうと手笛を吹く。


「いーけめんっ!」


弘人が音頭を取るようにはやし立てると、クラスメイト達が「イケメン!ゴール決めてくれー!」などと口々に叫び出した。


「あいつら大騒ぎしてんなぁ」


体育館の右後ろは、クラスメイトやサッカー部が占領していた。


「今からあのテンションで大丈夫なのかな」


スクリーンを見ると、自分までどきどきして、なんだかテンションが上がってくる。

頬が熱くなってきた。